芭蕉はいわば信仰的に伝統に身を任せようとした。そうすることが伝統を受容する道だと考えた。初めからある立場をとって批判的に伝統に対するのは、伝統の受容の仕方ではない。それは伝統のつまみ喰いである。芭蕉は卑しいつまみ喰いを避けて、伝統のなかにともかくも全身を委ねようとした。『おくのほそ道』前半の、こつこつと歌枕・旧跡を尋ねる旅はまさにそのような姿勢を示している。
商品コード:AF551
出版社:KADOKAWA
著者:井本農一
四六判ソフトカバー
264ページ
ISBN:978-4-04-622068-4
本体価格:3,300
円
販売価格(10%税込):3,630
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