和歌が悲しき玩具だったといえば、時代錯誤の譏りを受けるかもしれないが、人麻呂以後の和歌においては、本質はさほど変わっていないだろう。家持のことばでいえば「悽惆の意は歌に非すば撥ひ難きみの」という、それであって、この点の認識においては啄木も茂吉もひとしかったし、表現とは何かを、とりわけて抒情詩において言ってみたにすぎないといえる。ことばのわざとは、常にそうであったはずである。
商品コード:AF559
出版社:KADOKAWA
著者:中西 進
四六判ソフトカバー
276ページ
ISBN:978-4-04-622073-8
本体価格:3,300
円
販売価格(10%税込):3,630
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