昭和二年、折口信夫、数え年四一歳。波多郁太郎、慶應義塾大学文学部学生、同二六歳。この年から、「波多日記」によって折口の動静を知ることができる。著者は、夭逝した波多の「日記」に語らせ、回想あるいは資料的補強を加え、折口とその周辺の歌びと・研究者の群像を浮き彫りにしていく。愛すること強く、またその反作用の強烈であったと、その折口を敬慕してやまなかった波多、さらに著者自身の、歌と学問を仲介する師弟の交誼は、一種感動的でさえある。今まで不明であった折口の資料的欠落をうめると同時に、ひとつの「青春」を捉えた真情あふれる回想の書でもある。
商品コード:AF633
出版社:KADOKAWA
著者:池田弥三郎
四六判ソフトカバー
498ページ
ISBN:978-4-04-622082-0
本体価格:4,100
円
販売価格(10%税込):4,510
円