「片雲の風にさそわれて、漂泊の思ひやまず」とは、『おくのほそ道」の冒頭にある芭蕉の心境を示す赤裸々な言葉である。芭蕉の名声も高まり、蕉風の勢威もようやく緒についた芭蕉四十六歳のこの時期に、知る人も少ない奥羽の旅へ彼を出立させたものは何であったろうか。このことは、芭蕉の文学や人物を考える上できわめて重要な意味をもっている。俳文学研究の第一人者である著者は、芭蕉に同伴した曾良の旅日記をよりどころに、『おくのほそ道』の全工程を追体験し、奥羽の名所・旧跡・歌枕を通して、「不易流行」の哲学をはぐくんだ過程を考察している。芭蕉研究に不可欠な書といえよう。
商品コード:AF660
出版社:KADOKAWA
著者:井本農一
四六判ソフトカバー
442ページ
ISBN:978-4-04-622092-9
本体価格:4,100
円
販売価格(10%税込):4,510
円