三重県埋蔵文化財調査報告396
蓮華寺跡は、10 世紀末頃の創建と伝えられ、伊勢神宮大宮司・祭主大中臣氏のもと、平安後期から南北朝期にかけて盛えた、南伊勢を代表する寺院跡である。
砂防工事に伴う範囲確認調査の結果、現地表下約1mで遺構面に達し、溝やピット、段状地形などの遺構を確認した。また範囲確認・工事立会では 11〜14 世紀にかけての土器や中世瓦が出土した。これらから、現在の蓮華寺境内には、蓮華寺跡に関する遺構・遺物が良好に残存していることがわかった。一方、現在墓地となっている箇所は、昭和 50 年代の墓地造成時に地形が大きく改変され、遺構は滅失したとみられる。
なお、調査に際し、境内にある庭園の現況調査及び測量を行った。庭園は近世以降の造営とみられるが、庭園内には塚の下部構造が遺存しており、昭和初期の記録によると中世墓の可能性が高い。境内では過去に蔵骨器が出土しており、現本堂付近に中世墓が点在していた状況がうかがえる。
商品コード:AK994
出版社:三重県
著者:三重県埋蔵文化財センター
A4ソフトカバー
24ページ
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本体価格:1,150
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販売価格(10%税込):1,265
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